研究内容

研究概要

羽田研では,没入感の高い立体音響技術の構築に向けて,複数のスピーカやマイクを並べたアレイ信号処理を基本とした研究を行っています。特に最近では,空中に浮かんだ音像を手で直接操作するインタラクティブオーディオ技術の実現に向けて,左右への音像定位のみならず,上下方向,奥行き距離方向,広がり感,残響感,エリア再生の制御を直線および球面スピーカアレイを用いて研究しています。また,人の発話放射の模擬や公共交通機関向けの音場測定や個人用アクティブ騒音制御の研究も行っています。

研究項目

空中音像とインタラクティブオーディオ

32個のスピーカを並べた直線スピーカアレイや球面上にスピーカを配置した球面スピーカアレイを用いることで,スピーカのない位置の空中に仮想音源を生成することができます。

羽田研では,モーションキャプチャで取得したユーザ動作に基づいて,この仮想音源をリアルタイムに操作する研究をおこなっています。

例えば,下図(マウスオーバーかタップすると動きます)のような操作した場合の操作感・実体感について研究しています。

GIFアニメーションの様子の説明文

直線スピーカアレイ

下図はLeapmotionというハンドトラッカーで取得した位置に直線スピーカアレイを用いて焦点音源(仮想音源)をリアルタイムに生成する実験システム図になっています(マウスオーバーかタップすると動きます)。

GIFアニメーションの様子の説明文

Kinect Body Tracking SDK

Kinectを用いてボディトラッキングを行い,仮想音源を投げることにもチャレンジしています(マウスオーバーかタップすると動きます)。

GIFアニメーションの様子の説明文

球面スピーカアレイに対する仮想音源シミュレーション

普段の研究では,実験を行う前に計算機シミュレーションにより,どのような音や波面が再現できるのかを検討しています。下図は96ch球面スピーカアレイを用いたNear-Field Compensated Higher Order Ambisonics (NFC-HOA)により生成した中心から0.4m位置に仮想音源がある場合(左)と2mに仮想音源がある場合(右)のシミュレーションです(マウスオーバーかタップすると動きます)。リスナーがいる中心付近では左は球面波,右は平面波になっていることがわかります。

GIFアニメーションの様子の説明文

人の発話放射特性

 人がどのように音を立体的に感じているかに関する研究も重要ですが,人がどの方向にどれくらいの強さで話しているかという発話放射特性の研究も,没入感を追求する上ではとても重要です。

そこで,羽田研では,人の発話放射特性の調査とその模擬に関する研究を行っています。

以下は音は出ませんが,発話した際の周辺に放射されている音圧を可視化した様子です(マウスオーバーかタップすると動きます)。

GIFアニメーションの様子の説明文

下の動画はUEC OPAL-RING videoにあるYouTubeです。

Active Noise Control/音場の制御・計測

音源から出た音が人の耳まで伝わる間には音場が介在します。この音場の情報を知ることは重要ですが,普通の部屋では音は床や壁,天井で反射・回折を繰り返すため,5cm離れただけでもその特性は大きく異なります。

しかし,いちいちマイクロホンを設置して特性を計測するのは手間がかかるため,音場の内挿・外挿が重要となります。

羽田研では,音場や放射特性の計測を通して,音波の内挿・外挿に取り組み,音場再現やActive Noise Controlへの適用を研究しています。

以下のYouTube (UEC OPAL-RING video)はスピーカが3次元空間に放射している音波を追跡する装置に関するものです。

機材(たくさんあります!)

羽田研の普段の研究では計算機シミュレーションを使ったアルゴリズム研究が主ですが,最後はシステム構築を行い,音場の測定や主観評価実験にて自分たちの作ってきたものの性能を評価します。

  • 左から32ch直線スピーカアレイ,多chA/D,D/A,42ch球面スピーカアレイ
  • スピーカアレイ

  • 左から48ch3次元音場計測装置,無響室,ダミーヘッド
  • 測定機材

  • 左から3Dプリンタ,3Dプリンタで自作した32面体スピーカアレイとマイクアレイ
  • 3Dプリンタ

    各自にデスクトップPCが配備されるのはもちろん,GPUマシンも数台用意してあります。

    e-mail

    haneda.yoichi [at] uec.ac.jp